広くなくても心地いい。家の中に“自分の居場所”をつくる工夫
近年は資材価格や土地価格の高騰により、家のサイズそのものをコンパクトに計画するケースが増えています。とはいえ、家が小さくなったからといって、暮らしの快適さまで我慢する必要はありません。
これからの家づくりで大切なのは、面積の広さではなく、心地よく過ごせる「居場所」があるかどうか。今回は、限られた広さの中でも、家族それぞれが心地よく過ごせる“居場所”をつくる考え方をご紹介します。
閉じた書斎より、開かれた「居場所」
在宅ワークの広がりとともに、「書斎がほしい」という声も増えました。ただ、壁と扉で囲まれた書斎は、使う人が限られがちです。
近年の家づくりでは、あえて閉鎖的な個室をつくらず、LDKやホールなどの“開けた空間の中”に小さなスペースを設ける、という間取りが人気です。
・リビングの一角
・階段ホールの一部
・キッチン横の余白
こうした場所にカウンターや棚を設けることで、仕事、勉強、読書、ちょっとした作業など、用途を限定しない「居場所」が生まれます。

「専用スペース」にしないのがポイント
居場所づくりで大切なのは、最初から“誰専用”と決めすぎないこと。家族のライフスタイルは、時間とともに変わっていきます。
・午前中は親が仕事
・夕方は子どもが宿題
・夜は読書や趣味の時間
このように、同じ場所でも使う人や用途が自然と入れ替わり、その都度快適に使えるのが理想。だからこそ、「この場所は誰が使うか」を固定せず、家族みんなで共有できる“余白のあるスペース”として考えることが、長く心地よく使い続けるコツです。
使いやすさを左右するのは「収納」と「コンセント」
居場所があっても、物が散らかってしまっては落ち着きません。そこで重要になるのが収納計画です。
家族みんなが使いやすくするために、誰が・何を・どんな場面で使う可能性があるのかを
事前に整理しておくこと。そのうえで、必要な場所に必要な分だけ収納を設けておくことで、使う人が入れ替わっても自然と片づく居場所になります。
また、見落としがちなのがコンセントの位置。パソコン、タブレット、スマートフォン、デスクライトなど、複数の使い方を想定して配置を考えることで、一層使いやすいスペースになります。
事例:姉妹で使える、共有のワークスペース

たとえば、W様邸では2階ホールの腰壁部分を活用し、姉妹で使えるワークスペースを設けました。
カウンターのサイド部分には、ニッチを利用した本棚を。 勉強道具や本をさっと手に取れる配置にすることで、個室にこもらなくても、それぞれが集中できる居場所になっています。
廊下やホールといった“通るだけ”になりがちな空間も、少しの工夫で、暮らしに寄り添う場所へと変わります。
家の大きさには限りがあっても、心地よく過ごせる居場所は、工夫次第でいくつもつくることができます。
「閉じすぎない」「決めすぎない」「使い方が変わる前提で考える」
そんな視点を持つことで、家族それぞれが無理なく、自分らしく過ごせる住まいになります。 これからの家づくりのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。